メディアに関する議論は、いつの時代も盛んである。
一方、そうしたメディア論議は、どうしても評論的になりがちだ。
データを収集し、何からの理論的フレームワークに則って分析する「論文」は、
メディア論議の中では、評論の影に隠れて目立たない。
なまじ耳目をひきつけるテーマだからこそ、評論の方が人の心をひきつけるのかもしれない。
しかし大学でメディア論を学ぶ場合、最終的に求められるのは卒業「論文」であって、卒業「評論」ではない。
この本は、大学で教鞭をとる研究者が、メディア論に関する卒論執筆の方法を初歩的なことから丁寧に解説している。
おそらく、卒論執筆を意識し始めた大学2〜3年生が手にとってみても読みやすい本だと思う。
もっとも、より専門的な学術論文を執筆しようとする大学院生には若干物足りないようにも思える。
より詳細なデータベースの使用法(や作成法)、学際的な理論構築の方法などが必要になってくるからだ。
とはいえ、学生が卒論執筆の「手がかり」として読むには現状最適の本だろう。
できれば、院生向けの『メディアの修論』の出版を期待したい。