ゲストハウスに転がり込んだギンジとホストになったジェイク.
それぞれが虚構の人生を軌道に乗せたかに見えるところから下巻はスタートする.
2人の新生活が次第に綻びを見せ始めるプロセスはなかなかに面白い.
とくにギンジのパートはそれぞれの登場人物の思惑や,微妙なムードが丁寧に描写されていて,
積み上げられたものが崩れるときの落ち着かない雰囲気がよく伝わってくる.
中盤からは,記憶を取り戻したギンジの過去が語られる.
これはこれで,リアリティもあるし,時代感も取り入れた内容ではあるが,
今風な家庭の不幸を盛り込んだだけのややステレオタイプな印象を受ける.
この内容なら,ゲストハウスの崩壊にもっとページを割いてもよかったのではないか?
記憶を取り戻した後のギンジが新たな自分を獲得していく姿が印象的なだけに
過去よりも,現在から将来につながる部分をもっと読みたい気持ちにさせられる読後感.