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メタボラ(上) (朝日文庫)
 
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メタボラ(上) (朝日文庫) [文庫]

桐野 夏生
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

記憶を失った〈僕〉は、沖縄の密林で職業訓練所から脱走してきた昭光と出会う。二人はギンジとジェイクに名を替え、新たに生き直す旅に出た。だが、「ココニイテハイケナイ」という過去からの声が、ギンジの人格を揺るがし始める――。一方、ホストに身を落としたジェイクは過去の女に翻弄され、破滅の道を歩んでいた。社会から零れ落ちていく若者のリアルと後戻りできない現代の貧困を暴き出す、衝撃のフィクション!

内容(「BOOK」データベースより)

記憶を失った“僕”は、沖縄の密林で職業訓練所から脱走してきた昭光と出会う。二人はギンジとジェイクに名を替え、新たに生き直す旅に出た。だが、「ココニイテハイケナイ」という過去からの声が、ギンジの人格を揺るがし始める―。社会から零れ落ちていく若者のリアルを描く傑作長編。

登録情報

  • 文庫: 352ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2010/7/7)
  • ISBN-10: 4022645547
  • ISBN-13: 978-4022645548
  • 発売日: 2010/7/7
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 157,403位 (本のベストセラーを見る)
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形式:文庫|Amazonが確認した購入
2人の訳ありニートの過去と現在を交錯させながら進んでいくロード小説。
主人公が男のためか、同時期の他作品と違う位置づけにしたかったのか、桐野夏生らしいエログロは少ない。
あまり考えたくはないんだけど、他作品のように「エログロを呑み込んで更に逞しくなっていく女性」的な生命力は感じず、男って「死に向けて行進する存在」と桐野さんが定義づけているようで怖いです。
なにかのインタヴューで彼女が語っていたように、ちょうど派遣地獄的な社会問題がクローズアップされた時期に発刊されたので、そういう括りでこの作品が話題になった側ところがあるのですが、社会問題を取り上げて話題作りしたというよりも、現在的な男性性の文脈を探していたらそこに行きついたという感じで、嫌味は全くありません。
エログロジェットコースター的な盛り上がりが上滑りする時期(東京島とか)から、引き算をしながら作品を成立させることに成功していると思います。新たな変容の可能性すかね。
しかし、いつもながら、読後に読む前よりも違ってる自分に気付かせる小説が書ける桐野さんはすごいな〜と思わされます。
現在そういう書き手はいないでしょう。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
記憶喪失の男と,更生施設から逃げ出してきた男.
ギンジは名前を与えられ,ジェイクはウソをついて,それぞれが偽りの人生を始めようとする.
同じスタートラインから始まり.やがて離れたり,近づいたりしながら,虚構の人生が交錯する.
ギンジの正体と,ジェイクの嘘人生の顛末という2つのテーマを軸にしたストーリーである.

ギンジは,記憶がないながらも,知性があり,思慮深く,礼儀正しい青年.
一方のジェイクはあっけらかんとして,底の浅いウソを平然と吐きながらどこか憎めないキャラクター.
これだけ対照的な2人の一人称視点を使い分ける筆力がすごい.
表面的な言葉遣いの違いだけでなく,
思考のプロセス,視野の広さといった本質的な違いをきちんと描き分けている.
この表現力はさすがである.

ただ,全体的にテンポが少々遅い印象を受けた.
新聞での連載小説だったようだが,それも影響しているのだろうか.
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 冒頭いきなり記憶喪失になった主人公が現れる。彼は出会った男に名前をつけられる。彼の過去には何があったのか。解説の評論家の方が書かれてあることがたぶん正論でしょうけど、もう少し一点だけ。

 この『メタボラ』という小説は、確かに男性性社会が崩壊していく過程で、アイデンティティーにもがく男性的なポジションと、そのような社会的自我の確立を放棄したところで生きている女性的な人間との邂逅がドラマになったものといえると思います。ただ解体の側面だけじゃなく、桐野さんはこの作品でもうひとつの軸をはっきり描いていると思います。

 この小説には主人公がふたり出てきます。記憶喪失になった最初の彼に、新しい「ギンジ」という名前をつけてくれるのは、もう片方の昭光という、一見チャランポランな男です。昭光は異性を喜ばせるという女性的な仕事―ホストクラブ―に従事するのですが、記憶を失い尊厳を失った「つまり父性を喪失した」この小説の中におけるギンジは、美しい沖縄の自然の土地で、まるで母親に名前をつけられた赤ん坊のように、行き着くというより、その女性的なるものに還って行くように見えます。
 彼は新しい仲間たちとも出会います。この小説で大きく意味があるのは、男性性の女性化=大きな主体性の崩壊、と同時に、ローカルな意味合いで新たな主体性のリアリティーがまさしく描かれてあることだと僕には思えます。
 失墜していく男性性を優しく受容する場所が沖縄であり、そこは行き場をなくした孤児たちが溢れていますが、それを一種のモラトリアムととるか、再生の場所ととるかは、読み方それぞれです。この作品がユニークなのは、女性性の現実側から社会を描くだけじゃなく、沖縄を帰還としての女性的リアリティー=歴史として捕らえたことでしょう。単に取材しただけで、こういう作品を描くことはできないはずで、読み終えたあとは震えがとにかく止まりませんでした。

 この小説はかなり構造的に書かれてあるので、中盤辺りだれるかもしれませんが、最後まで読むと感動が得られるようになっています。小説は行き着くところまで崩壊の過程を描いていきます。そこは唯一本土決戦をした、基地がある楽園、沖縄です。
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