この本は、メゾスコピック系の物理、特に、コヒーレント伝導を中心に、コンパクトに定性的に基本的な事柄がまとめられている本です。この分野の記念碑的理論・実験が紹介され、この分野の雰囲気を覗いてみたい人にとっては十分だと思います。「本書は、理工系大学生及び大学院初学年程度の方にメゾスコピック物理の面白さを紹介するために書き下ろされたものである。」という目的はほぼ達成されています。
しかし、この分野を詳しく勉強したい人やにとっては、それぞれの章が、定性的にコンパクトに説明されているのみなので、この本では十分ではありません。(ランダウアー形式については、ABリングの実験を例にとって分析しており、使い方がわかります。)この広大な分野をこれだけのページにまとめるとなるとしょうがないかもしれません。dattaやferry&goodnickなどのメゾスコピック物理のより詳しい慨論、各トピックについての専門的な文献を読む必要があります。arxivでも沢山良い文献が見つけられます。