デフレ時代を読み解くには最もわかりやすい書籍を
書いている長谷川氏。
しかし、今回の内容はかなり手厳しい。
中身は悲観論というより、
これからの日本経済の厳しさが書かれているが、
特に世界の市場を変えたのは、
デフレ化における「世界賃金の平準化」と
グローバルな低価格戦争であろう。
これまで高技術ゆえにもてはやされた
日本の製造業も、その質を落とすことなしに
価格だけを下げなければ、
世界のインフラ事業の受注は獲得できない。
その卑近な例が、
アラブ首長国連邦の原発受注で韓国に負けたことだ。
韓国は原発の箱物は作れるが、
ウラン圧力容器は作る技術がない。
つまり、部品発注は日本にして、
総事業は韓国ということである。
アラブは砂漠で何もない。
ということは、送電、配電施設など、
ゼロからの事業が待っているということである。
韓国が大統領自ら商談し、価格も2割安なら、
受注は持っていかれるという市場に変わった。
長谷川氏の指摘は、まさにここの部分にある。
これが何を意味するかの大きさについて、
政府も理解していない。
そのため、官民一体の体制が必要と述べるが、
同時に、現民主党では無理ということも指摘する。
新春の株価予想に、
インフラ関連の銘柄が多くみられたが、
受注なくして、株価は上がらない(下手すりゃやられる)。
このまま鳩山政権が続けば、
日本経済に再生はあり得ないという主張も、
これまで重厚長大企業を張ってきた、
長谷川氏ならではの見解であろう。
余談であるが、トヨタもAa2に格下げされた。
長谷川氏はトヨタ車リコールのさなか、
社長がダボスで遊んでいたという、世界企業としての
認識の甘さがアメリカに叩かれたと理由に挙げている。
ほか、ゆうちょ預入限度額引き上げで、
「農協」が潰れるということも書いている。
どちらも長谷川氏らしい、独特な視点である。
今回は読み応えあり。