この本は兄崎ゆなの短編集である。
メインディッシュは高校生カップル:まどかとタカシの物語である。
読むときに特に注目すべき点は、まどかがタカシと一緒に「恋人」を演じることを望んでいるのに対し、
タカシはまどか自身を望んでいることである。
彼女は一度タカシと付き合うことを決める。
しかし、話が合わないという理由で分かれる。
再び付き合う。
しかし、タカシが夏祭りの日にデートしてくれないことに不満を抱き、昔の恋人と浮気する。
すなわち、タカシのほうはまどかを本気で好いているのに対し、
まどかは恋人らしい振る舞いに憧れているに過ぎないのである。
男が女自身を「目的」とするのに対し、女は恋愛を「目的」として男をそのための「手段」としてのみ捉えているのである。
この構図が意味することは何なのだろう。興味は尽きない。
これを読んで私は日ごろの人間関係のなかで、
相手を「手段」としてのみ扱ってはいないかを考えさせられた。