一言でいえばメカニズムデザインとは決め方の決め方です。
ゲーム理論の対極的な視点から、ゲーム・ルールの決め方を考える理論です。
ゲーム理論は、与えられたルールのもとでのゲーム・プレイヤーの合理的な行動を理論化します。
メカニズムデザインは、プレイヤーの合理的な行動原理を所与として、ゲーム・マスターによる合理的なルール設計を理論化します。
オークションを例にとれば、入札者がプレイヤー、主催者がマスターです。
プレイヤーはなるべく低い支払額で品物を入手することを目指します。
マスターにとっては、品物を最も高く評価する入札者に落札させることや、なるべく高い金額を落札者に支払わせることがオークションの目的です。
目的を満たすためにマスターはどのようなルールを定めてプレイヤーの行動を誘導すればよいのか。
あるいは、そのようなルールは存在しないのか。
メカニズムデザインはその証明を与えます。
ここで、マスターが目指す状況が、関係者"全体"にとって"望ましい"状況と一致すると仮定します。
その目的を実現するルールを設計できれば、利己的なプレイヤーの行動が、全体にとって望ましい状況を結果的に産むことになります。
つまり、メカニズムデザインが与えるものは、"神の見えざる手"の存在証明あるいは非存在証明でもあります。
必要な用語はほぼ文中で定義されているので、経済学・数学の知識が乏しい私にも、省略されている箇所を補いながら証明を追って読み通すことができました。
(
位相や
解析の用語が少し現れますが、使われているのはあまり重要ではない箇所です。)
ただし、まえがきに書かれているように"根気強く論理を積み上げ一つ一つのステップに時間をかけて理解する姿勢が必要"です。
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以下、よくわからなかった点など。
・50p 定理2.3の証明で選好が単峰的であることはどこで使われている?
・53p 補題2.5の証明 「xの内点性から,MT(≧,x) = {≧}だからである.」がよく分からず。
・56p 最下行の「決定効率的」を定義する式で、v(a)とv(b)は、v_i(a)とv_i(b)?
・77p 「強単調性」の定義での
x_i ≧ y_i ⇒ x_i > y_i (左は実数の比較、右は選好)
は
x_i > y_i ⇒ x_i > y_i ?
・81p 補題3.1の証明の二行目「パレート効率的」とは77pで定義する「効率的」のこと?
・82p 補題3.1の証明ステップ1の冒頭三行がよく分からず。
・127p 「5.3.2 可能性定理」の冒頭での「公平性」は「水平性」のこと?
・163p 「マスキン単調性」の定義中にMT(≧,x)が現れるが、マッチングx,yに対して、その選好 x ≧ y はどう定義される?
・169p 定理7.1の証明の最後3行
aは、S(≧)に入っているどの女性にもプロポーズを拒否されない。(これをAとする。)
これは、任意のy∈S(≧)\S^A(≧)についてS^A(≧)>yが成り立つことを意味している。(これをBとする。)
において、脚注10より ¬A ⇒ ¬B すなわち B ⇒ A であることが分かるが、 A ⇒ B が分からず。