まず素直に、めちゃめちゃ面白かったです。
さほどの矛盾や伏線の拾い忘れなどが(私には)見受けられず、4巻という構成で非常に読みやすかった。
1、2巻は千代子、3、4巻は、鳥取が主人公と考えていいでしょう。
その証拠に1、2巻のモノローグはほぼ全て千代子だったのが、3、4巻ではほぼ鳥取になっています。
そして出ました、きづきあきら+サトウナンキ流、幸せには終わらせませんよハッピーエンド。
「メイドと主人は相思相愛に結ばれてハッピーエンド!!ではなく…」
という鳥取のモノローグを通してエピローグに続きます。
ラストの鳥取の苦悩、私は非常に共感できますし、おそらく恋愛したての頃は誰もが経験する感覚だと思います。
そして、それを全て理解した上で千代子が鳥取を抱いてキスするシーンは凄く好きです。
付き合ったのは同情や憐れみじゃないって百ぺん言うても、
百一ぺん「ウソだ」って言うんやろ 「ご主人様」?
まあ ええ 言いたなくなるまで一万べんでもつきあいますよ
と、笑顔で言った千代子のセリフは凄く魅力的だと思いました。
「ご主人様」は、いまだにメイドとご主人様という妄想から抜け出せませんね、
という千代子の皮肉が込められていると思います。
そして、一万べん繰り返してあなたが現実に来てくれれば、私は満足だ、という笑顔なのでしょう。
鳥取もメイド喫茶のあだ名ではなく「千代子さん」と本名で呼んでいて、
妄想から現実へ葛藤しながら脱出しつつあるという描写を的確に入れていることに感動しました。
「メイド」=「おたく」みたいなことは考えず、
そういう世界、価値観を持っている人もいるんだよな、と思って手にとってみてください。
そうすれば、あとは作者が引き込んでくれます。
ちなみに、千代子はいたってふつ〜〜〜の女の子です。高校でも彼氏はいて、することはしています。
そして、1、2巻の鳥取は非常に格好良いんです。だから鳥取に惚れたわけで、個人的には不自然さがなかったと思います。なぜ、へたれNo.1の鳥取が格好良いかは、是非読んでみてください。
あ、あと千代子は佐賀県生まれらしく、全編通して大阪弁です。
あえて苦言を呈するならば、1、2巻では千代子のモノローグでやたら「かえちゃん」(=実の妹)というフレーズが出てきて、難病を患っているという少々重い設定なのに、3巻以降物語から逝ってしまった点でしょうか。全く出てきません。
どうなったんだろ、かえちゃん。。