独自の視点から行った東京の都市観察をガイドブック形式にまとめたユニークな書籍。建築家らしい計画的視点から観察するのではなく、現状ありのままの東京を受け入れ、その中からこれからの東京の未来につながるものを発見しようとする試み。
都市観察は定着を通してはじめて姿を明確にするのである。そういう観察と定着の間の相互依存性を建物のつくり方にフィードバックすることが、建築の方からこの都市に貢献していく時の、ひとつの有効なやり方なのではないか。(抜粋)
具体的には、一般的に無名で美しくない、否定すべき対象として見られることの多い「ダメ建築」に注目し、それらを東京の現実を建物という形式を通して観察することに関してはいかなる建築家の作品よりも優れているとし、「事件としての建築」と捉える。
ダメ建築:建築的な構成の美学や形式に捕らわれることなく、周辺環境やプログラム等の条件への愚直な対応を優先させた建物(抜粋)
そうした「ダメ建築」は、カテゴリーを無視した複合や無関係な用途の同居、隣接建物の構造的一体使用などという特徴を持っており、それらは機能的に明確に分けて考えるよりもむしろ都市環境における多様な「まとまり」として見ることができるとし、そうした都市の生態を「環境ユニット」と名づける。
以上のような発想から70の「環境ユニット」を選定し、タイトル・簡単な解説・写真・説明図・地図を備えたガイドブックが完成している。それらの「環境ユニット」の特徴を説明するものとして、以下の10のキーワードが設定されているのも興味深い。
異種格闘技/自動尺度/ペットサイズ/物流都市/スポーティブ/副産物/都市住居/建物としての機械/都市の生態系/仮想敷地