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話の主人公は、書影に出ている女性、ジュディット。偉大な宇宙飛行士、ディアーヌ・クローデルの娘です。失われた“月”を取り戻す大プロジェクト・チームの一員として、他のクルーとともに命がけの任務を果たしていくなかで、彼女がたくましく成長してゆくストーリーでもあります。
ま、それはそれでなかなか読ませるのですが、何と言ってもわくわくさせられたのは、“月”を取り戻すプロジェクトの壮大さと、計画完遂のために命がけで行動するジュディット以下、宇宙船クルーたちの勇気でした。そして、そこにみなぎる著者のSFスピリットと、宇宙空間のリアル感満点の絵にやられました。わくわくしながら、全2巻、一気に読まされてしまいました。
夜空にかかる“月”、特に満月を眺めている時なんか、折に触れてふいっとこの作品のこと、思い出すだろうなあ。星野之宣さんの作品、読むのはこれが初めてだったのですが、もう大満足。素敵な出会いに感謝です。
いや、普通はここでなんとか隕石をぶっ壊してハッピーエンドなんですが、隕石はなんとか軌道を外れたものの、蒸発しきらなかったブラックホールが月を消滅させてしまう!ってここまででまだ序盤かよ! スゲー!
本編は膜宇宙理論というかブラックホールで木星から月を持って来る行程がメインになりますが、国のエゴで時期をずらしたい米国(「今年から君の国はずっと冬ね」と言われたらそりゃ辛いけど)と余力があるうちにやらないと手遅れになるというヨーロッパ勢が対立します。
そういえば世紀末には文明破滅物が流行りましたが、個人的に忘れられないのがこれ。
「石炭のような手ごろな原料を使い切った人類は、技術を一度無くしたら二度と手に入れることはできない。」
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