「はみだしっ子」シリーズ、「ロングアゴー」の後、三原先生の短編はいまひとつしっくり来なかったのですが、この作品には驚かされました。
シリアスでありたかったのに傍目からみればコメディ?としか見えないような不条理に放り込まれた男の悲哀、何よりも狼男のクォーターで○○男になってしまう、という発想に驚嘆です。
プライド高く野心家で他者を顧みない有能な男が意に反して不条理に巻き込まれるというのは、中島敦の「山月記」にもみられるように古来よくある設定ですが、その不条理というのがよりによって!! 読者はトマスの悲嘆を感じながらも、ディーのように笑いを堪えずにはいられなくなってしまいます(ディーの場合、トマスが目の前に居るので命懸けですが)。
ドタバタの後一応ハッピー?エンドとなりますが、考えてみれば本当に不幸な話です。
その後、ディーの出生の秘密が少し絡む短編と、特殊能力の伝染?にも触れた短編があり、やはり名作「僕がすわっている場所」と発表されていきます。
トマスがなんだかんだ言ってもディーを心配している様子をみて、安心したのを覚えています。
その後のトマスの話ももっと知りたかったのですけれど、あとは想像するしかないのですね。