この本はマイケル・ジャクソンの初の自伝となっています。幼少期からジャクソン5、ジャクソンズ、そしてソロとしてアルバム『BAD』までの生涯を彼自身の言葉で振り返ることが出来ます。アルバム作りに対する意気込み、情熱が伝わってきます。特に『Thriller』にかける思いは凄まじいものがありました。
完璧主義者ゆえの心の葛藤、幼い頃から有名だったことによる精神的プレッシャーやマスコミからの嫌がらせのような報道への憤り、家族のこと、友人のこと、モータウンへの反発など、30年程の人生の様々な局面での内面を語ってくれます。メディアの上では見えなかった真実が明らかになります。
マイケルの完璧志向はこの本を書く際にも発揮されています。自分の本当の気持ちを伝えようと、慎重に言葉を選んでいる気がします。田中康夫氏による翻訳もこなれていて、非常に読みやすいです。本の最後に記された言葉が印象的でした。以下にその言葉を引用します。
「人間は真実と接していたいと望んでいます。また、その真実を他の人に伝えたいとも思っています。たとえ絶望であっても、喜びであっても、自分が感じたり経験したことを生かすことが、その人生に意味をもたらし、他の人々に役立つことにもなるでしょう。
これこそは芸術の姿です。こうした啓蒙の瞬間にためにこそ、僕は生き続けているんです。」