素敵で静かな、それでいて少し愉快な、とびきりの世界。降り積もった雪の中に埋まれたムーミン谷。古く先祖代々から冬眠するムーミン一家の中で、たった一人だけ目覚めてしまったムーミントロール。寒くて、薄暗くて、何だか不気味な初めて見る冬の世界。恐ろしくて、心細くて、不安な気持ちのムーミントロール。でもムーミン谷は、そんな子供のために素晴らしい体験を用意していました。美しいけれど、見たものを凍らせてしまう氷姫。雪で作った綺麗な馬。愚かだけれど、素晴らしい尻尾を持つリス。隅っこの好きなご先祖様。小さくて怖がりだけれど、優しい心の女の子。暖まりたくとも、自らの冷たい心で火を消してしまう可哀想なモラン。姿を見せない恥ずかしがり屋の小さな生き物たち。物知りのおしゃまさん。
静かなこの世界には何かがいて、何かがあるようです。この人たち、皆完璧ではありません。でも、何とも愛すべき存在なのです。作者であるヤンソンさんの涼しくて清らかな心で見る世界は、全てがキラキラしています。子供のお話と思って読まないでいると、本当に大変な損をしてしまうでしょう。貴方の心がモランのように冷たく凍ってしまった時、何とも言えず孤独が身に染みる時、ぜひ読んでみてください。孤独も悪くはありません。