アニメが40年も前から何度もリメイクを重ねていることからも、「ムーミン」を愛してやまないひとが多いと容易に想像できる。
著者は大ファンが嵩じて、原書を読破すべく原語(スウェーデン語)を独習し、さらに原作者のトーベ・ヤンソンとの知己まで得たという。だから、いちファンが表面的な魅力を語るのとはわけが違う。
ヤンソンの家庭環境や経歴を踏まえ、形成された社会観や人生観が作品やキャラクターにどう反映されたか、といった“重い”内容もこの論考には含まれている。
ヤンソンはもともと画家志望で、挿絵は彼女の手になるわけだが、その絵も数多く引用し、絵に語らせた意味深なメッセージの解題も試みている。
とはいえ、やはり児童向けの物語である。こうしたバックボーンに囚われない読み方でいっこうにかまわないし、深読みしつつ隠された魅力に迫ってもいい。いろんな読み方がある、これもそのひとつ、と考えてもよかろう。
キャラクター論考の扉ページに原語の綴り、その裏ページに意味が記されている。日本向けに翻案された名前の元の意味がわかるのが嬉しい。私は「スナフキン」が好きだが、これは英語訛りだそうで、原語の意味を初めて知った。「ニョロニョロ」の原意も面白い。ちょっとしたトリビアかもしれない。