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例えば毎日あるいは毎週支払いがある、という点。一見すると厳しいように思えますが、そのためにはすぐにキャッシュフローを生み出す事業を行わなくてはなりません。つまり、長期間かかる投機的な投資はこの仕組みで防いでいるわけです。
貧しい人々を信じる強い意志と、先入観を捨てた経済学者の頭脳。今まで読んだ開発関係の本の中でも有数のものだと太鼓判を押します。
「美しい経済理論を教える教室」から一歩外に出れば「死体があふれる現実」のバングラデッシュの貧困の世界が広がる。一方で、厳格な回教の教えのもとで、貧困層の女性には自立する機会が与えられず、女性への暴力が跋扈する社会。このなかで、貧困の解決と女性の自立とを目指し、ユヌスはマイクロクレジットを構想する。
眉唾と見ることは簡単なのだが、本書を通じてユヌスに見出せるその人間性は、経験主義と実践する力、ジンテーゼを構想する知性、Personal Missionを自覚した者が特有に持つ自己ドライブの力といえよう。
特に、「第一級の知性と言えるか否かは、2つの相反する考えを同時に心に抱きながら、なおかつ思考を機能させる能力を持ち続けることができるかどうかで決まる」というスコット・フィッツジェラルドの言葉のとおり、その執拗なまでの思考と知性とをもって、解決困難として放置されてきた問題に対する少なくとも一つの解を見出し・実行した点は、高く評価されるべきなのだろう。
また、マイクロクレジットが、あくまでビジネスモデルとして構想されていく過程は興味深い。
美しい理論の視点から現実を切り捨てることは容易であり、学歴が高まるほどにこの性向には勝ち難い。しかし、ユヌスが見せたように、理論の象牙の塔に留まり現実に身を投じることなくしてはジンテーゼは生み出せない。斯様に当然のことを改めて強く認識する機会を、本書は提供する。
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