天才リサーチャーにして腕利きのハッカーのヒロイン、リスベットの魅力が炸裂し息を呑む衝撃の結末に向けて突っ走る「ミレニアム」第2部の下巻です。著者は人身売買組織を追うダグと恋人ミアの殺害直前に二人を訪ねたリスベットの描写を途中で打ち切り、すっかり消息を絶たせて読者を心配でやきもきさせます。警察はリスベットを殺人犯と断定し指名手配に踏み切りましたが、どうしても彼女の仕業と信じられないミカエルは警察とは別に調査を開始し、警備会社社長アルマンスキーも疑念を抱き自社の精鋭社員を警察に協力させて真相を探ろうと動き出します。本作では予想を裏切り前作のミカエル&リスベットの良好な協調関係には程遠く、辛うじてPCを通じ文字で会話するのみですが二人は徐々に真相に肉薄します。また、登場人物も多彩になり特にリスベットの女友達ミリアム・ウーと元プロボクサーのパオロ・ロベルトが2mを越す無敵の金髪の巨人と繰り広げる決死の勝負が印象的です。今回の推理・謎の解明は犯人自身の独白や事情を知る関係者からの聞き込みによりもたらされ、真相もそれ程仰天するような内容ではありません。これは前作でも同様ですが、著者は常に異常な不自然さを排して如何にもありそうな物語を構築し、徹底してリアリティー重視の姿勢を貫いています。ここまで読んだ結果から著者の本質は謎解きミステリーには無く、大迫力のサスペンスにあると断言して良いでしょう。ラスト近くで明かされる謎の老人ザラと金髪の巨人とリスベットの関係に驚かされ、そして情け容赦ない生死を賭けた対決は、前作が子供じみて生易しく思える程遥かにバイオレンス色の濃い血も凍る恐ろしさに満ち溢れています。真面目な姿勢を崩さず正道を歩むミカエルに対し、次の行動が予測不可能な野性味溢れるリスベットは警察にも目をつけられ今後どうなって行くのか?不吉な予感に震えながら興奮と戦慄の完結編に期待しましょう。