映画で英語を勉強する者にとって、その教材の選択に悩むことも少なくないが、ミルクという映画は、会話が多い上に、予想以上に会話が標準的で、使える表現満載である。まさに英語学習に適した教材といえる。もちろん同性愛の主人公ということで、これらを暗喩する蔑称も使われているが、本文中に説明があり大勢に影響はない。また冒頭には、これら同性愛の人権問題に関する詳しい説明もあり、これらを頭に入れておけば、より深く理解可能である。同性愛ということで毛嫌いされる方もいると思われるが、実際の映画の場面でも、性描写は最低限に抑えられており、英語学習者にとって繰り返し勉強するのに大きな支障はないのではないだろうか。訳もそのまま字幕スーパーに使えそうな適訳で、アンというレズの選挙マネージャーが登場した際、敵陣営のスパイと疑われた時に、Are you guys alwayas this paranoid? と反論したフレーズが、あんたたちいつもそんなに疑い深いの?と訳されており、実際の字幕の被害妄想というより、すんなり頭に入ってくる訳をしてくれている。また本セリフ集を通読すると、米国での同性愛者の公民権運動の概要が掴めるばかりか、場合によっては、この分野を研究しようとする初学者にとっても参考書となりうる詳しさがあるように思える。