雑誌「歴史群像」の連載の総集編であり、歩兵編、機甲編、砲兵編の3部に加え、それらの応用である実戦編(攻撃機動・防御など)(以上が田村尚也氏による)、そして兵站、師団、参謀についての記事が収録されている。
第二次世界大戦における陸軍の戦術の基本が体系的・理論的に理解できる。機甲編のみ米・英・独・日・露各国陸軍それぞれの運用思想や配備の違いから、敵勢力にどのように対応したか、ケーススタディのような書き分けがなされている。
本書で面白いと思ったところは、軍事組織への意識であった。歩兵・戦車の両編についてともに小隊・中隊〜師団までの組織編制が意識されていて、それぞれの戦術レベルでの機能(つまりは編制が戦況を左右する)が記述されている。こういった解説は同ジャンルの中でも少ないのではないか。
私は軍事に疎く、本書からは学ぶところが多かった。1000円という値段、127ページという薄さにも関わらず情報が濃密で図説も多く読みやすいため非常にコストパフォーマンスがよい。価格・時間の両方において。
ただビジネスなど他分野への応用は難しく、結局はミリオタの慰み物になってしまうかもしれないが、軍事(地上戦力)に関してのリテラシー、ニュースや戦争映画、歴史を見る目を養う最初の一歩として有用だと思う。