「楽曲は、育って行くもの」という表現をしたミュージシャンが居る。それはつまり、同じ楽曲でも歌い手がキャリアと経験を積み、アーティストとして成長した分、時代によって違った表情や味わいを見せるという事だ。それは歌のみならず、パフォーマンス面も同様で、例えば今「まっさらブルージーンズ」をステージで披露すると、発表当時とは違った印象を受ける。そういった視点で考えてみるとビデオ・クリップは、アーティストとして成長したメンバーが現在の等身大の姿で歌を披露するコンサートと違い、発表当時のメンバーの姿のみならず、時代背景、空気やカラーまでもを封じ込めたタイムカプセルのようなものである。
本作は、℃-uteのビデオ・クリップ集第3弾で、梅田えりか在籍時の「暑中お見舞い申し上げます」から、最新シングル(2010年12月現在)「会いたいロンリークリスマス」までを収録。曲数的には、折角なのであと2曲ぐらい溜まってからのリリースでも良い様な気もするが、発売されたばかりの新曲のPVが早くも観られるというのは嬉しい。この曲を除く他の各曲は、シングルVとして既に発売されているPVなので、内容に関する説明は省略させていただくが、℃-uteの作品と共に日常を送っているファンなら、曲が始まるごとに、タイムカプセルを紐解いたかの如く当時の空気感が鮮明に蘇っているのでは無いだろうか。特に℃-ute、そしてファンにとっても特別な状況下でのリリースとなった「EVERYDAY 絶好調!」のPVは、この歌詞を当時の℃-uteが歌う事によって、いかに重要な意味を持つ楽曲であったかが思い出される。本作はPV以外にも、特典としてPVのヴァージョン違い、告知CM等も収録。
℃-uteには「絆」という言葉がよく似合う。ハロプロ・キッズ・オーディションで出会い共に歩み、Berryz工房として先にデビューを掴んだ同期のステージを見ながら、舞台裏で悔し涙した時代。℃-uteという名前を授かりグループが結成され、まずは地道な全国キャンペーンや先輩の前座として歌を披露する日々。インディーズ活動を経てメジャー・デビュー、単独ツアー、レコード大賞受賞。ライヴ・ハウスからホールへ規模拡大。作品やステージで新たな方向性へ挑戦し続ける姿勢。新たな夢へ向かうメンバーを送り出した卒業公演。危機に瀕した℃-ute再生へ全力を注いだ5人の現メンバー・・・。「絆」と口にするのはたやすい事だが、その「絆」が生まれ結束されるまでに、どれ程の努力と苦労があり、涙を流し、支え合い、手を取り合って来たかという事実が無い事には、その「絆」の本当の強さと質は見えて来ない。ファンの方なら、その「絆」の意味と強さを充分感じておられると思う。ビデオ・クリップというタイムカプセルで、℃-uteの歩みを振り返りつつ本作のジャケットを見ると、何とも心温まるショットである。