ビルマに行った観光客は言う、
「聞いていたのと全然違うよ、皆、普通に暮らしてるし、
街は人も多くて賑やかで、軍事政権も案外受け入れられているみたい」
著者はビルマ駐在時代のジョージ・オーウェルの足跡をたどりながら、
それが全くの間違いであることをはっきりと述べている。
軍事政権と麻薬組織(供給量世界第2位)によるすべての冨の搾取と権力の私物化、
隅々までに張り巡らされた民間人同士の相互監視と密告、その後の拷問。
徹底的な言論統制、軍が下す少数民族虐殺命令、一般人の強制徴用。
21世紀の現代に7歳の子供を道路工事に強制徴用する国がいったい何カ国あるというのか。
恐怖政治の極限が繰り広げられている状況は、まさにオーウェルの「1984」の世界である。
しかし、現在の国際社会ははビルマの存在を見ないようにしているのではないか。
50年もの長い間続いている圧政とそれに苦しむ人々を忘れ、
目先の利益から裏で軍事政権と手を結んでいるのはないか。
自分達さえ良ければ他人などどうなってもいいと思っているのではないか。
目の前に厳しい質問を突きつけてくる作品となっている。
ビルマに行ったことのある人、これから行く人ともに必読と言えるであろう。