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ミノタウロス
 
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ミノタウロス [単行本]

佐藤 亜紀
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (22件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第29回(2008年) 吉川英治文学新人賞受賞

出版社/著者からの内容紹介

革命。破壊。文学。
「圧倒的筆力、などというありきたりな賛辞は当たらない。これを現代の日本人が著したという事実が、すでに事件だ」福井晴敏氏
20世紀初頭、ロシア。人にも獣にもなりきれないミノタウロスの子らが、凍える時代を疾走する。文学のルネッサンスを告げる著者渾身の大河小説。

登録情報

  • 単行本: 286ページ
  • 出版社: 講談社 (2007/5/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062140586
  • ISBN-13: 978-4062140584
  • 発売日: 2007/5/11
  • 商品の寸法: 19 x 13.8 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (22件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 427,430位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本
物語は、社会や周囲の人間を軽蔑しきったヴァシリの視点から一人称でシニカルに語られていきます。
そして、当然ヴァシリは、自分の行動を正当化しようとします。
しかし、その一方で、作者は主人公のナイーブさを一人称の語りのなかにそっと忍びこませています。
たとえば、恋人テチヤーナに対する描写の箇所。

だからテチヤーナは、十八で、はちきれんばかりに健康で、(中略)信じられないくらい無邪気だった。抱きしめると一抱えもあって、裏返すと広い背中が馬の毛並みのように輝いて、肌は柔らかいというより針で突いたらはじけそうで、こんがり焦げた焼き菓子のような匂いがした。

ここなんていわゆる19世紀ヨーロッパの大衆小説の典型的な修辞で、恥ずかしくなるような紋切り型の連続です。かつて『皆殺しブックレビュー』で、作者がデビッド・ロッジの評論を紹介していましたが、底意地の悪さはまさにロッジ的です。
ある女性評論家が、この主人公と作者は似ていると言っていましたが、それは間違っているような気がします。
作者のほうが主人公より二枚も三枚も上手です(というより、物語と登場人物の操り具合がすさまじい)。

その後、ヴァシリのヘタレっぷりは、どんどん顕在化していきますが、前半部分の最後で、ついに信頼していたシチェルパートフという資本家に7ページに渡って罵倒されまくることで、彼のダメさ加減は、読者の前にすべてさらけだされます。

と、このように、シニカルでニヒリストであるはずのヴァシリのヘタレさが徐々に明らかになっていくというかなり難易度の高いベクトルが、前半部分の修辞と行間には巧妙に織り込まれています。しかも一人称視点であるにもかかわらず…。これだけとってみても「ミノタウロス」は傑作だと思います。
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29 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By アジアの息吹 トップ1000レビュアー
形式:単行本
筆者は本当にこの第一次世界大戦前後の時代が好きなのだろう。
しかも本書の舞台ははまだメジャーなウィーンを遠く離れ、
ヨーロッパの辺境の地、ウクライナである。

理解するに困難な時代設定など、背景の説明さえ
一切捨て去ることで文体の格調を維持し
安易な歴史モノにありがちな凡庸さを回避している。

よって気軽に手に取れるエンターテイメント作品ではないが、
紛い物の歴史に飽き飽きした読者にとって
この水準の作品が日本語で読めることは幸せである。
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24 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Pipo
形式:単行本
ロシア革命前後のウクライナを舞台に、地元社会の崩壊をきっかけに「(あらゆる意味で)やっちまえ!」と突っ走っていく地主の息子とオーストリア軍の脱走兵の物語です。

標題の「ミノタウロス」が示すものは日本人にはイメージしにくいのですが(ギリシャ神話ではあっさり死んでる感じだし)、暴虐と殺戮など、あらゆるダークサイドのイメージをはらむキャラクターです。主人公のうち地主の息子は、流行りの幼児期トラウマなどはどこ吹く風。ナチュラル・ボーンで堅気じゃないし、相方となる兵士もまともそうで壊れています。この2人が地元のギャング集団や軍隊の間をすり抜けながら生きていくさまは壮絶そのもの。とはいっても文体自身は格調高く、下品なところは皆無です。新潮社クレスト・ブックスにそっと入れられていても気づかないほどの良質の文体だと感じました。結末は救いのかけらも何もないのですが、なぜかほっとさせるような切れのよい結末です。

主人公と相方のキャラクター造形もさるものですが、前半で異彩を放つのが主人公の兄。もともと影が薄い存在なのですが、傷痍軍人として故郷に帰ってきた後の存在感の不気味さが重たくのしかかってきます。

小悪党ものでも大悪党ものでもないけれど、疾走感あふれるダークな物語をこんなにキレイに読めたというのは驚きでしたのでこの評価としたいと思います。
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最近のカスタマーレビュー
ちょっとだけ残念
 非常によく書けているにもかかわらず、読後感の悪さ、達成感のなさに、作者が書こうとしたものが不明になる残念な作品でありました。... 続きを読む
投稿日: 5か月前 投稿者: みたか
決して駄作ではないが、かといって傑作でもない
「圧倒的筆力」などと大仰な帯だったので読んでみたが、いまいち乗り切れない作品だった。... 続きを読む
投稿日: 16か月前 投稿者: MinyaKonka
やくざものたちの流浪
 主人公もたしかに暴君だが、まわりの人間も劣らぬ暴君が多い。
 みんなやくざものである。... 続きを読む
投稿日: 16か月前 投稿者: 魏
小児科医杉原のお薦め
残忍.気分が悪くなりました、というコメントもあると思いますが
戦争を直視する、という意味では良い教科書になりうると思っています.... 続きを読む
投稿日: 20か月前 投稿者: ksugihara
評判がよい作品だったので購入しましたが
... 続きを読む
投稿日: 21か月前 投稿者: 後生畏るべし
ピカレスク浪漫
ピカレスクの語源は悪漢小説。
この小説の主人公、自由奔放に生きる地主の息子ヴァシリも見事な悪漢です。... 続きを読む
投稿日: 22か月前 投稿者: まさみ
理屈で読むものではない
... 続きを読む
投稿日: 2008/7/11 投稿者: ホレイシア
ヘタではないが名文とも思えない
ロシアの田舎地主の馬鹿息子を主人公にしたノワールぽい文学。
会話文に「」を使わず、メリハリのある描写というよりは、... 続きを読む
投稿日: 2008/7/11 投稿者: ゴルディアス
ひたすらな暴力
... 続きを読む
投稿日: 2008/6/23 投稿者: hffrs850
かなり微妙・・・。
モチーフ自体はは興味深いものではあった。... 続きを読む
投稿日: 2008/6/17 投稿者: 君麻呂
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