前々作、前作よりも全体的にテンポが落ちて、売れ線からますます遠のいてはいるのですが、独特の浮遊感のあるレイド・バック・グルーヴを聴かせてくれます。ノラ・ジョーンズ人気爆発の立役者という影を振り払って、完全にジェシー・ハリスの世界を作り上げています。ドラム、ベースなしの編成で、オルガンがベースの役割をしている曲が多いことが、独特の柔和なミネラル感、浮遊感を生み出しているのでしょう。ハワイの海岸を思い起こさせるジャック・ジョンソンのオーガニックなレイド・バック・グルーヴとも、カナダの山奥を思い起こさせるロン・セクスミスのオーガニックなレイド・バック・グルーヴとも、アメリカの南部を思い起こさせるボブ・ディランのオルタナ・カントリーのレイド・バック・グルーヴとも、ちがいます。かといって、ジェシーの地元のニューヨークらしいレイド・バック・グルーヴというのでもないでしょう。
ジャック・ジョンソン、ロン・セクスミス、ボブ・ディランのほか、ダニエル・ラノワ、ジョー・ヘンリー、レイ・ラモンターニュといったシンガー/ソングライターが好きな音楽リスナーは、このアルバムからジェシー・ハリスを聴き始める場合でも、すっかり耳になじむと思います。
日本盤ボーナストラック3曲のうち、トラック15、16は、まるで前作と本作とのあいだを橋渡しするかのようにテンポのよい佳曲。トラック17は、トラック1のソロ・ライヴ。
歌詞カードもとても見やすい体裁です。