「ルパン三世/カリオストロの城」(79年)のフィアット500、「007/ユア・アイズ・オンリー」(81年)のシトロエン2CVなど、頼りなげな小さい車が意外にも小気味よく追っ手から逃れるというシークエンスは、初めドキドキあと痛快となりますが、その礎を築いたと言えるのが本作ではないでしょうか。後半25分に渡って次々とアイディア溢れるカーチェイスが繰り広げられ、息つく暇もないほどにラストシーンを迎えます。
特典映像の未公開シーンも、映画全体のテンポを落としてしまうとしてカットされたものですが、使われなかったのが勿体無いような出来栄え。逃走中のミニクーパー3台と、アルファロメオのパトカー3台がリンクの中で一緒にワルツを踊るというもので、車のCMとして十分使えそうなほどです。
また、下水道管の中でミニクーパーが極端に左右に蛇行しますが、実はその中で一回転までしようとしていたことも分かりました。現状でも十分スリリングですが、もしこのスタントが成功していれば、さらに面白い映像になったかもしれませんね。
他にもランボルギーニ・ミウラ、アストン・マーチンDB5コンバーチブル、ジャガーEタイプなどの高級スポーツカーが登場し、その雄姿をスクリーン上で楽しむことができますが、結局それらは惜しげもなく大破されてしまうという、娯楽映画の常套手段も本作の影響があるのではないでしょうか。
さらに、スウィンギング・ロンドンな雰囲気と、イタリアの古都トリノ、スイス国境の雄大な山腹の景色と舞台を変え、観光映画としてのエッセンスも満喫できます。
英国60年代の象徴マイケル・ケインと、いにしえの名優ノエル・カワードが競演し、脇を喜劇役者で固めた配役も絶妙だと思います。
ミニクーパーのモデルチェンジに伴って、映画自体もリメイクされたのはご承知かと思いますが、豪快なオリジナルの面白さには足元にも及びません。