70年代当時、米国ニクソン政権と険悪な状態にあったトルコのイスタンブール空港から麻薬(ハシシ)を持ち出そうとして逮捕されたアメリカ青年(今は亡きブラッド・デイビス好演)の世にも恐ろしい刑務所での体験を綴った実話小説の映画化。日本公開当時トルコの実情を正確に描いていないとして、トルコ大使館から抗議を受け、当時の有楽座での公開も1週間そこらで打ち切り。テレビ放映も大幅カット版がかろうじて深夜にかつて放送された程度。しかし、本国アメリカでは有名俳優が出演していないにもかかわらず、大ヒットし、アカデミー賞の脚本賞(オリバー・ストーン)と作曲賞(ジョルジュオ・モロダー)の2部門を獲得。J・フォスター主演のダウンタウン物語で注目のアラン・パーカーの名を一躍高めた作品となりました。映画はどこまでトルコの実情を描いていたか、主人公の青年が被害者意識の塊ではないかなど賛否渦巻いていましたが、改めて再見すると、みすぼらしくも絶望的な状況にありながら人間の尊厳とは何かを問いかける重要な作品だったと思います。国家間の都合で個人の運命が翻弄される恐ろしさは現代にも通じるのではないでしょうか。公開から早30年が経ったというのに、世界情勢は地域こそ変われ当時と大差ない緊張が地球のどこかで続いていることが残念でなりません。なお、公開当時のフィルムには、この映画公開後米国とトルコが犯罪者引渡しに関しての交換交渉に入った旨の字幕が出ていましたが、先のDVD化にはなぜか削除されていました。この映画が国際社会に与えたインパクトを消し去ったいきさつが理解できません。再商品化に際しては、オリジナルに忠実にしてもらいたいことを最後に付け加えたいと思います。