軍事機密を搭載したステルス爆撃機が日本アルプスに墜落し、多数の国民が危険にさらされる。その軍事機密をめぐって極秘裏にテロ国家(たぶん北朝鮮)の特殊工作員と自衛隊特殊部隊の間で戦闘が繰り広げられる。山岳での戦闘に、暗い過去によって一旦は引退した戦争ジャーナリスト(主人公)が巻きこまれるという設定。絶体絶命の極限状態において、隊員とジャーナリスト、そして日本が選択した決断とは?
原作小説はツッコミどころ満載で小説としての評価はイマイチであったが、娯楽作品とわりきって本作品をみると、邦画としてはそこそこのできであったと思う。実際に存在する範囲内での設定だけに、こんなこともあり得るかなと思ってしまう。大まかには、設定自体に荒唐無稽とはいえず、最後のシーンも主人公の笑顔に、わかっていてもつい感動してしまう。この表情ができる役者として大沢たかおが起用されたのかなと思った。で、ちょっと涙。
ただし難点はたくさんある。テロ国家の工作員が素人を簡単に取り逃がすようなヘマをしたり、主人公には弾が当たらないなどのように、あっさりと危険が回避される点などは、原作と大差なくいただけない。また、回想シーンにみられる主人公のトラウマや雪山の厳しさ、戦闘の危機感など、本作品のレベルを問うために必須である背景の大きさが映像からあまり伝わってこず、監督の力量に疑問がわく(同じ脚本でも他の監督であれば相当違ったのでは?)。危機一髪のシーンにもドキドキ感は薄い。
全体としては、設定は星4つ、脚本は星3つ、監督の技量は星2つで総合的には本来星3つの内容ではあるが、ほとんど主役を喰ってしまっているほど吉田栄作(自衛隊の特殊部隊)の存在感は特筆もので、役者の力量で星4つに昇格。総括すると、役者の存在感と、大沢たかおの最後の笑顔に集約される一発ネタ的な作品になってしまったのが残念。