本書は1906年(明治39年)英国国王から明治天皇へガーター勲章を奉呈するため来日したコンノート公アーサー殿下の使節団の主席随員であったミットフォードの日本滞在記である。使節団は横浜、東京、静岡、京都、鹿児島、名古屋などを訪問し各地で盛大な歓迎を受ける。天皇陛下をはじめ各皇族方、徳川慶喜公、西園寺首相、山県および大山元帥など当時の日本を代表する人々との会見の様子も述べられている。日本の自然、風土、風俗、習慣についての記述も多く、内容的には日本に対して極端とも言えるほど好意的になっている。ところで作者には『英国外交官の見た幕末維新』という幕末から明治維新の激動期に日本に滞在した際の著書も存在する。その作品では同一人物が書いたとは思えないほどの日本および日本人に対する評価が示されている。当時と今回の日本に対する評価の差は約40年間の作者自身の人間的成長によるところもあろうし、まだ攘夷が盛んであった頃の幕末期と日英同盟が継続更新された直後の時代背景によるところもあろう。また今回は英国皇族からの正式な使節団員であり、この著作がその後多くの日本人の目を通るであろうことが予想されたがために極めて親日的な内容になったとも考えられる。本書一冊のみではあまり面白みの無い記述であるが、時代背景をある程度理解してから読むと大変興味深い内容となっている。