ひばり12歳から30歳までの曲が収録されています。その内ほとんどは1962年、25歳までのもので、発声が自然で瑞々しさに満ちていた若い年代の録音です。
スタイルは「リズム歌謡」。曲目を見るだけで、ブギウギ、マンボ、ハワイ、サンバ、チャチャチャ、ロカビリー... と、様々なスタイルが並びます。どの曲、アレンジ、歌唱も、洋楽を真似ただけのものではなく、日本的な感覚で消化されたものです。若い頃の「演歌じゃない」美空ひばりを形容するのに「日本人離れした」という表現が見られますが、実際はちっとも日本人を離れておらず、日本人にしかできない音楽に仕上がっていて、どれも素晴らしいです。
抑えが効きながらも、自由に空を駆け巡るようなこの時期のひばりの歌唱は言うまでもありませんが、伴奏のレベルが大変高いのにも驚きます。丁寧に作られたアレンジと、グルーブに溢れる演奏。多くを失い、西洋音楽も抑圧されていた大戦の敗戦から数年〜十数年でこのクォリティー。日本人っていうのはほんとに凄いなぁと思います。
デビュー曲「河童ブギウギ」、超有名な「お祭りマンボ」「真赤な太陽」、忍者がカバーした都々逸入り三味線スイング「車屋さん」、日本駐留米兵作品のカバーでエキゾチックなカントリー「チャルメラそば屋」(チャルメラ入り)、タテ乗りグルーブで色っぽく歌う「ひばりのチャチャチャ」等等、名曲名演満載です。
「JAZZ & STANDARD COMPLETE COLLECTION 1955-66」なんかで、洋楽を歌うひばりから知った方には、本盤は大変お薦めです。寧ろ本盤の方を先に聴くべきだとも思います。また、その「JAZZ & STANDARD」をお持ちでない方には、本盤と共に十代のひばり曲集「アーリーソング コレクション 1949~1957」をお薦めします。これで初期代表曲を押さえられるだけでなく、「JAZZ & STANDARD」未収録ながら、ひばりJAZZ 曲として最も評価が高い曲のひとつ「上海」が「アーリーソング」には収録されています。本盤とは数曲重複がありますが、気にする量ではありません。