本書は10作品が収録されている短編連作ミステリー。主人公は、署内では恐れられている剛腕ながら美貌の刑事・京堂景子と、その年下の夫で、イラストレーターで家事が得意の新太郎の2人。この京堂夫妻が、密室やダイニングメッセージなどの不可解な犯罪を、新太郎の推理と、景子の行動力で解決していくミステリー。アリバイ崩し、密室殺人の推理と、新太郎の推理も冴え渡りますし、景子の署内と家庭での違いも交えて、実にスパイスの効いた本格ミステリーとなっています。最後に収録されている「ミステリなふたり」で、この夫婦の出会うきっかけの事件も描かれていますが、キャラクターの強いこの2人の活躍とこれまでのエピソードをぜひ読んでみたいものです。短編のせいか、トリックなどでやや単調になっているところは感じられたものの、太田忠司らしく主人公が実に生き生きとしていて、存在感があり、引き続きこの京堂夫婦の活躍を読んでいきたいものです。