はじめて柴田よしきの作品を読んだ。
本書は恋愛モノであり、そして芸能界モノであり、
そしてミステリーも入っている、という感じの作品である。
失恋したうえに失業した和泉が、
モデルあがりの俳優である雨森海と出会い、
そしてそのまま流れで芸能界入りし
海のマネージャーとしての生活がはじまる。
もちろん和泉に芸能歴はなく、
舞台裏のような彼らの世界にただ圧倒されるだけだが、
精神的に海とともに成長していく。
ミステリーがメインなのか、恋愛がメインなのか、
そこのところがよくわからない。
ミステリーはミステリーでちゃんと成り立っていたのだが、
いささかオマケ的要素が強かった。
というか、必要ない気すらしたのだ。
しかし、本書では駆け出しのマネージャーである和泉が、
自由奔放な海にまとわりつくスキャンダルに揉まれるという
筋書きになっているため、
事件はかなり物語の核に触っているという感触はある。
ときおり、和泉はあらゆるものに対し疑問を投げかけるのだが、
その疑問が緩急となり
非常に物語そのものを読みやすく仕立てている。
だが、ミステリとしては若干弱めな印象を受けたことは確かだ。
とはいえ、和泉と海の性格、また洋子や冴子など、
それぞれの性格や位置付けなどがきっちりしており、
かなり感じよく読めた。
海の性格の裏や、その成長などを見ているとほほえましく思える。
ラストはなかなかよかった。
読んでるこっちが寂しくなるほどに感動するものだった。