ミジンコの形からミジンコが食べるものなど基本的なミジンコ入門といった内容から始まり,湖沼生態系の複雑な関係をミジンコを通して解き明かしている。
大型のミジンコであるダフニアは魚に補食されやすく,魚が多い場所では個体数が減る。このため,ダフニアが食べる植物プランクトンが増えて湖沼の透明度が下がる。だから・・・ダフニアを食べる魚を補食する魚食性魚を導入して魚の数を減らすと,湖沼の透明度が上がる。なるほど!しかもそれをアオコで汚れた白樺湖に魚食性のニジマスを導入してダフニアを増やしアオコを減らすバイオマニュピレーションを著者は実施している。実におもしろい。
また,この本のあちこちに生物はベネフィットとコストのバランスという記述が出てくる。このような大切な考え方が実例を通して良く理解できる。ミジンコから始まって生態学の基本的な考え方がよくわかる良書。