日本でミシュランといえば、レストランガイドをすぐに思い浮かべる。もちろん、あの独特のキャラクター(ビバンダムというらしい)のタイヤメーカーという存在も想起するものの、すぐには両者は結びつかない。
本書はそのミシュランの創業者のエドワールと兄アンドレから始まる。
当初は自転車のタイヤから始まりモータリゼーションの波とともにその地位を不動にしていく。一方で、アンドレは無料のガイドブックを配布することから始まり、1930年当時からすでに、レストランとホテルに星による格付けを始めている。
今、フランスでは三つ星をめぐるし烈な競争と一方でこれに対する反発も見られる。
三つ星を獲得するために、腕を磨くシェフもある一方で、星を減らされ自殺する者もいる。
その料理も庶民には手の届かない高価なものであり、スペインにあるレストラン「エル・ブリ」では分子調理法なる素材がなんだかわからなくする料理が脚光を浴び、今や主流になりつつあるという。
一方で、三つ星とはかかわりなく大衆食堂であるビストロを展開する動きや、せっかく三つ星を受けたにもかかわらず返上する動きがもう一つある。
そして、日本版ミシュランガイドである。
2007年の出版の時は大騒ぎになった記憶があるが、いまや書店でもあまり見かけない。
その原因については、本書でもいろいろ分析している。
しかし著者は、「料理とはそれを出す店と食べる客との二者の関係だけでは完結しない。レストランもシェフも客も食材も『食文化』という体系の中で役割を担うからこそその一つ一つが輝いてくる。」という。とすれば、ミシュランとはフランスという食文化のうえに咲いた花のような存在かもしれない。
いずれにせよ、庶民にはほど遠い世界であることだけは確かである。