劇場で公開時に観てから、20年ぶりくらいに見直して、改めてこの作品の凄さを再認識した。最初は公民権運動に絡む人種差別に犯罪が絡んだ刑事ものを大きく超える社会派アラン・パーカーならではの作品。南部の保安官上がりのFBI捜査官(G ハックマン)とFBI3年目の若手エリート捜査官のコンビが、実際に起こった公民権運動家3名の失踪から遺体発見から犯人逮捕まで描く。
地味ながら着実に聞き込みを成果をあげるヴェテランと理想と公正を墨守する若手捜査官との対照的な行動を描きながらも、捜査手法の違いで大喧嘩を繰り返しながらも、使命遂行だけは見失わず、犯人逮捕に成功する。囮捜査あり、露骨な人種差別の有様をケネディ大統領亡き翌年1964年に事件は勃発する。
公民権への犯罪は、連邦憲法への犯罪でもあり、地元州警察の範囲を逸脱していることが捜査へのけじめである。それをいとも簡単にすり抜ける州判事も連邦憲法違反のはずだ、その醜悪さを描き、地元生まれの聡明な美容師はKKKのメンバーで保安官助手の夫から瀕死の暴力を受けながらも、立ち直る。その口から、この州の初等教育での旧約聖書の解釈が問題と指摘されて、ワスプの思想でも南部と北部の違いを歴然と描き出す。アメリカの多様性がいかに民主主義を鍛え上げてきたかを証明する映画ともいえ、アメリカ現代史と政治史の偉大な一面を描きぬいた傑作。渋いハックマンの脂がのりきったころの作品。パーカーの代表作の一つとして残るであろう。