こちらは学術書だけど、これがめっぽう面白い。時は、ルネッサンスといえどもバチカン権力の全盛期、ご政道批判はご法度の時代に、天才芸術家がいかに一矢むくいたか、というのが本書の主題。天井画の解説だけでなく、当時の芸術家の置かれていた状況、バチカンの腐敗ぶり(だから後に宗教改革が起こるのだが)等もきちんと書かれていて参考になる。そこに、江戸の戯作者同様、権力者を相対化する(笑いのめす)新しいミケランジェロ像が浮かび上がる。高度に知的な隠された意図。シニカルな笑い。
しかし、これ、キリスト教社会の欧米ではダ・ヴィンチ・コード同様かなり物議を醸すのではないか?と思ってAmazon. USのレヴューを見ると、案の定、星5つが20件、星1つが11で評価が真っ二つだ。どういう人が星1つをつけたか判りますよね?(星1つのレビューを読むと、これまた非常に面白い)。日本では本書はあまり話題になっていないようだが、1.バチカンに行ったことのある人、2.ダ・ヴィンチ・コードを読んだ人、3.中野京子氏のファンの人(氏の本書に対するレヴューも聞いてみたい)、絶対お勧めです。
ちなみに、本書のブックカバーは、拡げるとそのままシスティナの天井画になるという楽しい仕掛けもあり、蔵書家にもお勧め。