あまり知られていない気がするが、かなりの良書である。
著者は、上級レベルのミクロ経済学の代表的テキストであるマスコレルへの橋渡しを意識して書いたという噂を聞いたが、確かにその通り。
特に価格理論のパートが素晴らしい。消費者の選好から始まり、双対性やスルツキー方程式などとてもわかり易く解説されている。またしっかりとLagrangeも使われており、数学的厳密性も失っていない。生産者理論や一般均衡理論もわかり易い。
ただ最大の欠点はゲーム理論のパートがかなり弱いことである。そもそも不完全競争や情報の経済はゲーム理論の応用分野であり、それらにおける様々な均衡(クールノー、ベルトラン、シグナリングゲームetc)はナッシュ均衡の視点から統一的に書かれるべきであるが、このテキストでは全て価格理論の視点から書かれている。よってゲームのパートは他のテキストで補った方が良い。
ただ情報の経済学や不確実性の経済学も他のテキストには書いていない(けど重要)なこともしっかりと書かれているため、ある程度ゲームをやった人ならこの本で学んでも十分理解できると思う。後逐次均衡やアセットプライシングなど上級レベルのことも書かれていて楽しめる。
価格は高いがその価値はあると思う。