数学的記述をなるべく使わずに丁寧な記述で分かりやすく説明しようと努力しているのが伝わります。
特に筆者の奥野先生の十八番である公共経済学で重要な概念となる「市場の失敗」(第6章)は秀逸です。
ただし、図表とページの対応が分かりづらい箇所があったり、練習問題が本文のレベルを若干上回っていたり、「情報の経済学」「ポートフォリオ論」といった中級のトピックに触れているなど全くの初学者には少し手強い面もあります。
現に故・清野一治先生はこの本を「コストパフォーマンスを考えるとこれが一押しです。でも、結構、手強い」[新エコノミクス・ミクロ経済学入門(日本評論社)のリーディングリストより抜粋]と述べ、中級書に位置づけています。全くの初学者の方なら金谷貞男先生のグラフィック・ミクロ経済学(新世社)のような平易かつ図と文章が同じ見開きで確認できる本が良いでしょう。
しかしある程度初級のミクロ経済学をマスターした方ならば手軽にトピックを再確認出来るハンディな参考書として使えると思います。