後年、桐島かれんや木村カエラをフロントに立て円熟した復活イベントで話題となったSMBがオリジナル編成で輝いていた時代の解散直前で最も油の乗りきっていた最後の一瞬を捉えた正に歴史的価値の高い実況録音盤。SMBの最高傑作として「黒船」挙げる人が多いが、私はオリジナルSMBの魅力が全て凝縮されたこの34年前のライブ盤を挙げたい。「タイムマシンにおねがい」が収録されていないという商業的マイナス点を差し引いても余りあるカッコ良さ、熱気、痛快さ、満足感が詰まっている。特筆すべきはベースの後藤次利の存在。復活イベントではもっぱら小原礼がレギュラーとなっている(オリジナルという意味では小原で正しい)がオリジナルSMBの成功、特にこのRoxy Musicと共に敢行されたイギリスツアーの快進撃を支えたのは後藤の視覚、実力両面に渡るパフォーマンスに負うところが絶大だったと思う。『何かが海をやってくる』のイントロから聞かれる高橋幸宏のドラムとの絡みの妙は何度聞いて感動的ですらある。そしてミカ。かれんやカエラと比べるまでもないヘタウマ系でハスキーなボーカルとブロークン英語の煽りは、荒削りで、毒気があって、ハラハラさせ、それでいて開き直った大和撫子魂を感じさせる。カセット録音のため音質は良くないし、観客の拍手は後被せのフェイクと思われるが、内容は大変充実している。私はWBCで連続優勝したジャパン野球チームの話題になるとなぜかいつもこのアルバムを連想してしまうのだ。日本人だなぁ、としみじみ思う。