ジョンとジェニーの二人のジャーナリスト同士の夫婦の結婚生活と、ほぼそれと同時に生きたラブラドール・レトリバーの雄犬マーリーの深い絆に結ばれた13年間が描かれています。
副題にもあり、本の中でも「バカ犬」と言うことでマーリーが扱われていますが、読んでいて、決してそうは思いません。確かに、お茶目で悪戯好きな子供っぽさがいつまでも抜けない犬ではありますが、その高い忠誠心や家族に対する愛情など、ここに見せる仕草にはマーリーの賢さが感じられます。
私も犬を飼っていますが、明らかにマーリーよりずっと「バカ犬」です。
そんなマーリーとこの夫婦の間の深い繋がりがあったからこそ、13歳(人間で言ったら90歳くらいか)と言う天寿を全うする年まで生きられたのでしょう。
逆に言えば、この夫婦にとっても、苦しい時には慰めてくれる存在だったろうし、生きてゆく原動力となった存在だったのでしょう。妊娠の時、流産の時、転職の決意の時、いつもそこにマーリーのいつに変わらぬ存在があったのでしょう。
この本は、そんな犬との絆を描いた作品であると同時に、アメリカの中産階級の生活の実態を良く現わしている作品だと思います。
コラムニストである作者の筆が冴えわたり、見事にマーリーを中心とした楽しくも幸せな家族の生活を描ききった素晴らしい作品です。