まさかこういう形で、アバドがベルリン・フィルの常任指揮者になる前のマーラ全集が、日本でリリースされるとは思ってもいませんでした。
しかもSHM-CD仕様ですから、少々私自身は驚いています。
再販されとしたら、廉価版で1500円シリーズなんかの発売だと思っていたからです。
ベルリン以前の傑作としては、このウイーン・フィルとの第9番はかなりの名演奏であったために、ネット・オークションに出ても必ず落札される程の人気がありました。
ベルリン・フィルとの第9番は録音がかなり「ON」の状態でダイナミックな演奏がされていて、名盤のひとつになっていますが、こちらのウイーン・フィル盤は、独特の柔らかい音で演奏され、感情過多になることもなく、現代音楽的なアプローチでアバドは棒を振っています。
私の記憶では90年代に出版されていた交響曲名盤ガイドでは、「カラヤン+ベルリン・フィル」「バーンスタイン+コンセルトヘボウ」と並んで推薦されていた記憶があります。
そのくらい、やはり名盤といえる立派な独創的な演奏だったんですね。
ベルリン・フィル盤の時も言われていたことなんですが、私の友人もアバドの「マラ9」を聴いて、「なんか、バイオリンの後ろの方が遅れて演奏していない?」という不満のような言葉をいっていましたが、これは決して「遅れている」わけではありません、アバドの意図的な指示です。
だいたい、「ベルリン・フィル」にしても「ウイーン・フィル」にしても、世界の双璧と言われているほどのオケです。
そんな下手な演奏をするはずがないではありませんか・・・。
この曲は「調性音楽」ギリギリの地点で止めている、革新的な曲です。
だからこそアバドはスコアを徹的に分析して、より「新ウイーン楽派」寄りの解釈で演奏し、結果としてバイオリンも遅れているように感じますが、これは「強調」すために解釈であったと思うのです。
どちらにしても、高音質盤でアバドの過去のマーラ全集全曲が出たので、クラシックファンには必聴といってもいいアルバムだと思います。
もちろん他の1〜8もお薦め致します♪