この映像がTVで放送された時、インタビューで小澤さん自身が語っておられました。
「どんなとこだって、水準を維持するってのは難しいんですよ。"維持する"って気持ちでやると、もう落っこちちゃう。水準を"上げていく"って気持ちでやんないとね。」
まさにこの言葉が示すように、サイトウ・キネンは転換期にあるのではないかと思わされます。この1番を聴いて尚のことそう感じました。
S席2.3000円のチケットで、しかもなかなか取れない。しかも会場は松本。しかしそこでは、とことん素晴らしい音楽を日本で、日本の演奏家が中心になって作り上げている。"音楽をしよう"という精神のもとで理想の世界が広がっている。
この演奏は、サイトウ・キネンのそういった姿勢に恥じないものか。正直言うと、以前のマーラー2番「復活」、9番に比べると演奏の質は落ちたように感じます。質というのは技術ではありません。上手いことは上手いのですが、サイトウ・キネンに一番求めていた「情熱」とか「誇り」といったような、「心に迫ってくるもの」はこの演奏ではそこまで感じられません。サイトウ・キネンには似つかわしくない言葉ですが、どこか遠慮が感じられるのです。
演奏としては素晴らしい出来栄えですが、サイトウ・キネンの演奏としては少し残念。そういう意味での星3つにさせていただきました。