私はあまりいいマーラーのリスナーではないのですが(なにしろ長大な曲が多く、実演を聴いた事がない私にとってはCDで聴き続けるのはちょっときついため)、そんな私でもこのこの交響曲第一番はすんなり入り込めました。 マーラーの作品の中では音楽的完成度が低いのかもしれませんが、ここには親しみやすい“歌曲の精神”が溢れていて、聴いていて実に楽しいです。 覚えやすくてちょっと民謡風の美しい旋律も魅力的です。 それでいてワルターの演奏はこのやや小ぶりの曲を迫力いっぱい、艶いっぱいに奏でていてくれて、本当に理屈ぬきに楽しませてくれます。 ちょっとやかましい第四楽章は苦手なのですが、それ以外はいずれもすばらしい名演だと思います。
マーラー本人から直接の薫陶を受けたというワルターの演奏は、ちょっと不気味で極端なマーラー演奏が主流になった現代においては大人しすぎるのかもしれませんが、私はこれからマーラーを聴いてみようと言う方にはやはりこの盤をお薦めします。 また、この作品の原曲は“さすらう若人の歌”という歌曲集なのですが、そちらの歌曲とこの交響曲を同録したCDがあります。 クーベリック指揮のバイエルン放送交響楽団演奏のCDがそれで、そちらも歌曲、交響曲共に見事な演奏。 興味のある方は是非どうぞ。