■プレイヤーの行動のほとんどは敵から逃げたり隠れたりすることしかできず、振り返ってうしろを確認すれば ほぼゲームオーバーになるので、追いかけられる恐怖の雰囲気が良くでています。
シナリオ上 障害となる敵は決まっていて、敵に捕まると1度でゲームオーバーになります。
ゲームクリアには障害のパターンを覚えて対処する必要のある いわゆる"覚えゲー"ですが、プレイヤーに成功行動をとらせるためのシチュエーションづくりに なるほど と思わされました。
プロローグや別のシナリオを通してみると、あらかじめ探索する機会が与えられており、地形の認識や室内の仕掛け、敵の対処法を経験させられています。
ゲーム全体を通じてマップに大きな変化は無いので、これらが下地(刷り込み?)になって、のちの初めてのシナリオの急な危機でも、複数ある扉のうちから身を隠せる部屋を咄嗟に選べたり、行き止まりになっていない方の通路へ逃げたりできるのだと感じました。
この辺はシナリオが細かく分かれていたり、シナリオごとに移動できるマップが異なったり重複することで、プレイヤーが意識しないようにできているようです。
最初から全てがうまくいってしまえば緊張感が無く、失敗ばかりでは単なる覚えゲーとなってしまいますが、冒頭に記した敵の様子をうかがう余裕の無い厳しい状況と、行動の事前"刷り込み"が、ほどよいバランスになっていて、時にはあせったり刷り込まれていなかったりで失敗し、時には冷静に判断できたりなんとなく一発でうまくいったりと、なかなか面白い覚えゲーになっていると思います。
特に初回プレイ時において、意識しないうちにとった咄嗟の選択がうまくいき、恐怖から逃れられたときの安堵感にこのゲームの魅力を感じました。
またゲームオーバー時は、1周目はゲームオーバー直前から再開でき、2周目はステージの最初から開始され、プレイヤーの慣れ度合いに併せた難易度の推移も好感がもてました。
■シナリオに関しては二転三転もせず、分岐もせず、深みはありません。
各登場人物に名前をつけられるシステムは物語への没入感を増すためのものでしょうが、じっくり考えた名前がシナリオの薄さのためにかえって肩透かし感を増しています。
シナリオの短さについては普通のアドベンチャーゲームのおまけシナリオレベルかと感じましたが、プレイ時間を多く要するゲームが多い中、休日にがんばれば2週目もクリアできるボリュームは、これはこれでよいと思いました。
ただ、本作の場合、価格面はもう少し抑えたほうが良かったと感じます。
やりこみ要素の無いゲームシステムや、そこからくるリサイクルなどの問題もあるのでしょうが、"参考価格"が現在の7割程度なら より満足感を得られたのではないかと思います。
■追記です。(2011/09/30)
普通のゲームですと、部屋などをいろいろ調べると真のエンディングに近づいていく といった展開が多く見受けられますが、本作は違います。
むしろ、余計なことに首を突っ込むとやられてしまいます。
この点も、逃げることに集中させ、緊迫感を高める上での興味深い重要な演出になっているかと思います。