コンチネンタル航空の路線図には,グアムからハワイに至るアイランドホッパー路線がある.その中継地にマジュロというところがあるが,それが第2次大戦中の激戦地となったマーシャル諸島である.
大航海時代からスペイン,ドイツ,日本,米国と支配され,現在は独立国「マーシャル諸島共和国」となっているのだが,その経済は他のミクロネシア圏と共通して米国に従属しているといえる.MIRBA型経済(MI:移民,R:送金,A:援助,B:官僚制)というようだが,国家予算の6割が米国の拠出によっている.国民は,元々は海の民であったが,漁を忘れ米国製の缶詰に頼る食生活になっている.特に,米国の核実験や米軍基地のため島を追われた民の悲劇は,何故尊厳を奪われねばならなかったかという怒りを覚える.
著者は,鳥瞰ではなく蟻の目で本書を書いている.何度も足を運んだフィールドワークの結果や,様々な執筆者によるコラムは,多面的にこの国を描き出している.地誌的,歴史的,文化的視点のみならず,観光という観点からも旅行ガイドの役割も果たしている.