「ニーズとは必要不可欠なものが欲しいこと、ウォンツは情緒的なものが欲しいこと」という誤った解釈をしないよう注意して欲しい。(本書「第1章:環境分析」より)
私は現在、外資メーカーのマーケターとして働いています。コンサルティングファームから転職して、マーケターとして働く手応えをつかんだのは、膨大な定性調査を繰り返す中で「顧客/消費者インサイト」というものが肌感覚として理解できたときだと思っています。本書での「ニーズ vs. ウォンツ」の解説は、まさにマーケターが「どう考え、行動するか?」の根幹をなす「顧客/消費者インサイト」理解の重要性を示唆しており、必ずしも派手さはありませんが非常に納得感がありました。
マーケティング本の観点から言うと、「第2章:提供価値の概念化」はマーケティングの現場を知り尽くした筆者ならではの解説で、マーケティングの取り組み方・プロセスで悩む方には一読の価値ありでしょう。また、「第5章:4P再考」での4Pの取り扱いも現実的だと思いました。個人的にマーケティングの現場で4Pを意識することが全くないので、未だにマーケティング=4Pのように語られると違和感を感じざるを得ないからです。本書「第2章:提供価値の概念化」の「商品コンセプト」の説明で語られているように「インテグレーション=統合はマーケティングのキーワードである」と考えた方が、現実的・実践的だと思います。
戦略本の観点から言うと、SWOT分析、プロダクト・ライフサイクル(PLC)の解説が秀逸です。フレームワークを知っているだけで思考停止してしまうことがいかに多いか、フレームワークを誤用することでどんなリスクがあるか、などが極めて実践的に語られています。