「マーケティング」という言葉が我が国でHousehold Wordになって久しくなりますが、「マーケティング・サイエンス」という言葉は未だ一般的ではありません。
コトラーに始まるマーケティングの理論はもともとサイエンスを志向していました。ビジネスの場では、ブランド・ロイヤリティ(エクイティ)がどうだ、ポジショニングがどうだと話が進みますが、そのための基礎データについては意外と無関心です。特に最近ランダム・サンプリングの実施が難しくなって、インターネットで簡単にアンケートをやるのが流行っています。しかし、それらしい結果が出るからといって、それではマーケティングは営業マンの勘とあまり変わらなくなってしまいます。調査結果はプレゼンのオマケみたいなものになってしまいます。
マーケティングがサイエンスになるためには、マーケティング・リサーチ(データ収集の方法・実施)もサイエンスでなければなりません。我が国でマーケティングの権威(?)と言われる人はいくらでもいますが、マーケティング・リサーチの権威と言われる人は少ないです。
翻訳者はそんな数少ない権威の一人でした。残念ながら、先日お亡くなりになりました。最後まで本書の下巻となるべき実践編の校正を行っていらしたそうです。