マーケティングの今日的課題について、心理学、社会学、ネットワーク理論、カオス理論など、様々なアプローチでの研究成果を紹介しながら、平易に説明された興味の尽きない本。読み進むほどに、ときに売り込みのテクニックのように扱われがちなマーケティングが、人そのもの、その意識、行動を対象にした活動であり、ほとんどあらゆる領域をもとりこむ底知れぬ深みを秘めたものであることを思い知らされる。 著者は「ポストモダンマーケティング」などの翻訳書をもつ実務家出身のコンサルタント/ライター。事例やレトリックも女性ならではの機微に富んでおり、一例としてマーケティングをめぐる顧客とマーケターの観点の違いを男女の結婚観に擬えたくだりは秀逸。曰く、マーケター(男)は販売(結婚)するまでが重要と見るが、顧客(女)は購入後の関係がより重要と考える。