マーケティングの理論と、マーケティング現場でおきている実態
との乖離を認識・確認した上で、哲学・文化人類学・社会学などの
成果も取り入れながら、その問題を克服する道を模索しています。
着想はあくまでマーケティングの現場。
現場を見極めたうえで、マーケティングの在り方を根本から
問いただし、その研究の方向性を指し示しています。
その意味では、たしかに本書はすぐに現場に役立つ本、いわゆる
ハウツー本・ノウハウ本の類ではありません。
だからといって、現場をないがしろにしているわけではなく
むしろその逆で、現場にこそマーケティングの本質があることを
強く認識している著者が苦悩の末に誕生させた本だと思います。
そして恐らくは、それまでに主張されているいくつかの理論を
バサバサと切り捨てているので、この本が出されたあとも
様々な軋轢があったことは想像に難くありません。
哲学的・学術的な表現が多いため、読破するのに苦労するでしょう。
心して読まないとすぐに眠くなります(笑)
でも、読みきることができたとき、この本の主張を理解できたとき、
新たなマーケティングの世界が開けるはず。
もっともこの本の主張をベースに、すでに様々な研究が進んで
いるため、今では「あたりまえ」と言われる主張も多く含まれて
います。
本著が指し示す方向性が、結局は多くの研究者や実務者に認められ、
影響を与えた証だと思います。
この本が最初に出されたのが1993年、著者が46歳のとき。
15年も前にこのような本を書いた著者に、あらためて敬意を
表します。