今からちょうど20年前に出版された「日本人の英語」 (岩波新書)以来、私は著者の本に魅了され続けてきました。この「英語のツボ」は、新聞や小説、映画などから拾った英語表現を俎上に、日本人にはなかなか身につかない英語感覚をテーマに(日本語で)綴ったエッセイ集です。
興味深いと思ったのは、アメリカの大統領や大統領候補となった人々を、それぞれの人物が使う英語によって分析している箇所です。
2004年の大統領選で民主党の候補となった上院議員ジョン・ケリーは、Senate-speak(上院語)ともいうべき「抑制がきいた、洗練された」しかし「一般大衆には間接的過ぎて分かりにくい」表現を好んで用いる人物だったとか。だからこそケリーには副大統領候補としてジョン・エドワーズという人物が必要とされたそうです。なぜならエドワーズは弁護士として活躍し、一般大衆を説得する才に長けていて、ケリーとは正反対に大衆ウケする英語表現を使うことで知られていたそうです。ケリー、エドワーズそれぞれの英語表現について具体例を挙げながら比較している点は読んでいて飽きませんでした。
最も勉強になったのは、apparentlyとapparentという単語の使い方に触れたくだりです。aparentlyという副詞は「どうやら〜らしい」という意味になるが、It is apparent that 〜という場合は「〜なのは明らかだ」と解釈すべきところだとか。このapparentなどはなかなか日本人には使い分けが難しいものです。
著者の次回作が今から待ち遠しい気持ちです。
*一箇所誤りを指摘しておきます。
163ページに「アトランティック・マンスリー」という雑誌が「1957年創刊」とありますが、これは「1857年創刊」の誤りです。