以前に出ていた子供向けのエイラシリーズも全部読みましたが、こちら地上の旅人シリーズはセックス描写がすごいです。とても子供には読ませられないと思っていましたが、何と私の知人は、高校生の息子さんにこのシリーズを読ませて、性教育に代えたとのことでした。エンタテイメントとしても大変面白いので、息子さんは喜んで読んだそうです。
確かに、このシリーズで性を学べば、ベッドだけでなく日常生活でも女性に幸せな生活を提供できる男性に成長できることと思います。
同時に、作者が以前の翻訳に飽き足らず、他の出版社に翻訳権を与えた理由も、このへんにあるのではないでしょうか。
こう扱われれば女性は幸せなのよと、繰り返し、ハードポルノ並みの性描写が延々続きます。女の子にはかなり抵抗があるのではないでしょうか。以前の翻訳者さんは、こうした性描写はコンパクトにまとめて、エイラの人間としての成長に焦点を当てて物語を再構成しておられました。少女には、以前のエイラシリーズを、男の子にはこちら、地上の旅人シリーズをお勧めしたいですね。
もうひとつ私が抵抗を感じたのは、欧米人にある根深い出自(血筋)による階級意識です。作者は、この作品を書くにあたって数多くの遺跡を見学したそうですから、たぶん遺跡には階級差を思わせる純然たる証拠があったのでしょう。それにしても、なぜそれが出自から来るものとして描かれたのか? この点は作者の意識下に出自優先主義があったに違いないと思うほかはありません。けれども、出自を優先できるようになるには、相応の経済的・文化的な蓄積が必要なはずで、そうした蓄積が生まれる前の時代に出自優先階級社会が存在し得るはずがないのです。
ケチをつけようと思えばつけられますが、そうした小さな傷はあっても大変面白い本です。大人の方は安心してお読みください。