ようやくCD化された。アコースティック・ギタリスト宮野弘紀の1stアルバムだ。レコードが発売された1980年頃はフュージョン真っ盛りの時期で、多くのミュージシャンが当時「クロス・オーバー」と呼ばれたこのジャンルに参画していた。特にギタリストの参入が多く目立っていたものの、エレアコで切り込んで来たのはこの宮野弘紀ただ一人ではなかったか。当時、秋山一将というジャズ畑のバカテク・ギタリストがいて大いに注目を集めたが、私は「アレンジのバリエーションの広さ」といった大局的な見地から見ても宮野弘紀の方が何枚も上だと思っていた。
ニューヨーク・マンハッタンで、あのマイルス・デイビスのプロデュースをしていたテオ・マセロを迎えてレコーディングされたこの作品には、NYの超一流どころのミュージシャンが参加しバックを務めている。この新人ギタリストのために参加したミュージシャンたちが、実に熱い演奏を聴かせてくれている。宮野の手による楽曲・アレンジに幅の広さを感じた彼らが、まさに全力でプレイしているわけだ。よってアンサンブルのレベルが非常に高く、各楽曲ともタイトで完成度の高い仕上がりになっている。これは本当に素晴しい作品。ここまで中身が詰まったアルバムはそうはお目にかかれない。当時、ブームに乗ってフュージョンをプレイし、つまらないアルバムを連発していた大御所ミュージシャンもいたが、この人は違う。「日本の若武者がNYを相手に互角に勝負した」と言っても過言ではない力作中の力作だ。27年間、再発を待った甲斐があったというものだ。