マンハッタンに1人で私立探偵事務所を構える『私』の様々な事件を連作短編で綴った作品集の2作目です。今回も短編なのに!伏線をはり、直接語り掛けないで醸し出す雰囲気がまた素敵にハードボイルドしていて、安心して読めます。ハードボイルドは気をつけないと安心して読めない、つい気になって酔えない作品が結構多い世界だと思うので。それを短編でやる技術は相変わらず素晴らしいです。全短編でハズレなし、常に高いハードルをひいていて、全く手抜きなしです、当たり前の事ですが、そのクオリティの高さに脱帽です。
また、例えとして良いかどうか分かりませんが、ビートルズの全アルバムの中で1番好きなアルバム(もちろん強引に一つに絞るからこその、葛藤と逡巡の結果)をあげる事でなんとなくその人の傾向が分かったりなんかして、ちょっと恥ずかしいのですが、同じ様にこの短編集から最も好む短編を挙げる事でも、同じ様な事が分かってしまいそうです。私の場合はビートルズなら「Abbey Road」です。
この「マンハッタン・オプ'U」の好きな短編は、息子を探す依頼から女の復讐にまつわる話しの「ALL THE THINGS YOU ARE」、私が誰だか調べて欲しいというシュールな書き出しからんで離さない「IN A SENTIMENTAL MOOD」、ただの車の代行運転が死体まで運ぶことになる巻き込まれ型の典型なのに素晴らしいクオリティの「TEA FOR TWO」、私にこの後結局長編をどうしても読まなければならなくなったきっかけになった消化不良だけれどもチカラ強い「I'LL REMEMBER APRIL」、など、様々ありますが、中でも1つに絞るなら、Art Pepperの「Meets The Rhythm Section」の中の1曲「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」は最高に好きな短編です。
音楽が好きな方にも、ハードボイルドが好きな方にも、規範を考えてみたくなった方にも、是非ともオススメ致します。